士農工商って?

士農工商(しのうこうしょう)とは、儒教において社会を構成する主要な身分(官吏・百姓・職人・商人)の上下関係を指す概念である。「四民」ともいう。ただし、日本では「士」は「侍」に置き換えられ、工と商に区別はなく一括して町人と認識されており、百姓(農)と「町人」との間に序列はなかった。

江戸時代の諸制度に実際に現れる身分は、武士を上位にし、その下に「百姓」と「町人」を並べるものであった。この制度では、百姓を村単位で、町人を町単位で把握し、両者の間に上下関係はなかった。また、町人の職業が「工」か「商」かを制度的に区別することはなく、商人を職人より冷遇する制度もなかった。そして、百姓の生業も農業に限られるものではなく、百姓身分で「商」や「工」に属するはずの海運業や手工業などによって財を成した者も多くいた。

天保の改革最中の天保13年(1842年)9月の御触書には「百姓の余技として、町人の商売を始めてはならない」という文があり、併せて農村出身の奉公人の給金に制限を設けているが、これはこうした風潮が農業の衰退に繋がる事を危惧した幕府の対応策であったと考えられる。つまり、現在でいう百姓とは農業専従者で「農人」として分類される存在であるが、江戸時代では範囲の異なる言葉であったのである。さらにいえば、厳密な百姓身分、町人身分とされたのは家の筆頭者だけであり、それ以外に村内、町内には細かな身分構造が存在していた。また「町人」と「商人」は異なる身分とみなされていたとする実証的研究もあり、実際の江戸時代の身分制度はかなり錯綜した複雑な構造を持っていたようである。

そもそも、士農工商に含まれない身分、(公家・僧侶・神主・検校・役者、穢多、非人など)も相当数おり、これらも公認の身分を保持していた。現実の江戸時代の身分制度は未解明な部分が多く、今後の実証的な研究が待たれる面が大きい。


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